利酒師の渡邉です。
世界ワインコンクール フェミナリーズ 2023で金賞を受賞した「鳥海山 純米大吟醸」。
秋田県は由利本荘市の酒蔵・天寿酒造の日本酒です。
本記事では、その鳥海山のテイスティング評価と、飲み方、料理との相性(ペアリング)について徹底的に解説。
鳥海山の口コミや評価を気にしている方は参考にされてください。
目次
天寿酒造(秋田)の日本酒・鳥海山 純米大吟醸
■スペック
- 精米歩合 :50 %
- アルコール度数:15 %
- 日本酒度:+1.0
- 酸度:1.3
■直近の受賞歴
- 2023Kura Master 金賞
- フェミナリーズ世界ワインコンクール2023 金賞
- ミラノ酒チャレンジ2023GOLD受賞
- インターナショナル・サケ・チャレンジ2023銀賞
- 第1回美酒コンクール2023銀賞
「鳥海山 純米大吟醸」の日本酒としての評価
リンゴのようなフルーティーな香り。
澄み渡った雑味のない洗練された味でありながら、味わいの奥の方、舌の底の方でしっかりした心地よい酸味が弾ける。余韻まで続く酸は思いのほか力強さを感じさせる。
華やかさといい、酸の特徴といい、同じ由利本荘市に蔵を構える齋彌酒造の「雪の茅舎」と似たものを感じる。
飲み方・温度帯
飲み方ですが、こちらは純米大吟醸のセオリーどおり、花冷え(10℃)〜涼冷え(15℃)でまず飲みましょう。
このお酒の魅力である香りが、良い塩梅で感じられる温度帯です。
雪冷え(5℃程度)までいくと、香りが大分抑えられてしまいます。
冷蔵庫から出して、5~10分程度が目安です。
料理とのペアリング
刺身やお寿司
真鯛の刺身
醤油の旨みと調和するとともに、鯛の旨みと酸が重なってじんわりと染みて美味。
マグロの赤身の刺身
マグロの味わい、旨みが、酒の甘みと酸味と重なって非常に美味な味わいになる。
タコ
タコの太い味わい、風味と酒の味わいがためをはって、バランスが良い。
コハダ
酢飯の酸味と醤油の旨みに、同じ酸味で調和し、華やかさと程よい甘さが加わって美味な味わいに。
エビ
同上、合う。
中トロ
トロの脂を酸が爽快に切ってくれて美味い。
玉子
お互いの甘みが感じられて合わないことはないが、やや平凡。
おせち
昆布巻き
昆布のぬめりけや独特のクセ、苦味を切ってくれて悪くないペアリング。
たたきごぼう
ゴボウの風味とのシナジーが特にないが、醤油ベースの甘辛い味付けとは調和する。
田作り
甘さが強い味付けだと、甘味で少し押されているような感じになり、やや不均衡。
黒豆
甘みが強いと、甘さで酒の味がかなり消え、ペアリングとしては良くない。田作りと同様、味付けがどの程度の甘さかで、相性が変わってくる。
紅白なます
なますの酸味と酒の酸味が接点になって味わいが自然と重なる。酸っぱくなった口の中に酒の甘みが入り込んで、美味な味わいに。
コハダの酢の物
酢の酸味と酒の酸が調和し、コハダの味わいと酒の旨みとの相性もよく、良い。
ブリの照り焼き
醤油ベースの甘辛い味付けと、酒の旨みと甘みが調和する。ブリの脂分も、酸などの酒の厚みで受け止めてくれる。そして余韻に薫るフルーティーな吟醸香が至福。
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そのほかの料理
牡蠣(塩)
牡蠣の風味•旨みと、酒のフルーティーな香り、酸味が重なってうまい。牡蠣の旨みと、酒の甘みが調和し、牡蠣のクセは酸味が切って、すっきりとした後味になり、とても美味い。
牡蠣(お好み焼ソース)
ソースの甘みのせいか、酒の甘みがへんに目立つようになってよくない。塩の方がいい。
ペアリング総評
繊細な食材から、旨味や脂で太い味わいの料理まで、幅広く調和する。それは、心地いい酸によるところが大きい。
その上で、味わいに程よい酒の甘味やフルーティーな吟醸香を添えてくれるので、目を瞑りたくなるような余韻に浸れる。
砂糖多めの甘い味付けのものだと酒の良さが活かされない(そのような料理には米の旨味や甘みが特徴的な日本酒の方が合う)。
そういった味付けのもの以外の、たいていの料理では食体験の質を1段も2段も引き上げてくれる、素晴らしい純米大吟醸酒。