キャンプであると便利なのがシングルバーナー。今回はそんなシングルバーナーの中でも、ロングセラーの名品・SOTOのST-310について紹介します。
長く愛され続けるその魅力や短所についても詳しく解説。
そもそも、「ガスバーナーって必要?」「どうやって選べばいいの?」と思っている方もいらっしゃることでしょう。そんな方たちに向けて、「キャンプでガスバーナーを使用する理由・メリット」や「シングルバーナーを選ぶときのポイント」も紹介します。ぜひ最後まで読んでいってください。
目次
キャンプでガスバーナーを使用する理由・メリット
読者の皆さんの中には、そもそもガスバーナーの必要性について懐疑的な方もいらっしゃるかもしれません。
「焚き火かストーブがあればよいのでは?」と、疑問をもたれても無理はありません。
ということで、まずはキャンプでガスバーナーを使用する理由・メリットについて簡単にご説明いたします。
火力の調整がしやすい
焚き火で調理する場合、火力の調整に難儀する場面が多々あります。必要以上に炎が燃え上がったり、逆に火力が必要な場面で鎮火してしまったり。その点、ガスバーナーであれば、つまみを一捻りするだけで自在に火力を操れるので便利です。文明の利器の偉大さを思い知らされる場面でもあります。
調理器具が汚れない
焚き火からは煤(すす)が出ます。よって、焚き火で調理すると使用した調理器具が煤で汚れて、真っ黒けっけになってしまいます。焚き火では薪の不完全燃焼が起こるため、どうしても煤が出てしまうのです。その点、ガスバーナーでは煤が出ることがないため、お気に入りの調理器具が真っ黒クロスケになることはありません。
コンパクトに持ち運べる
ストーブと比べてシングルバーナーは非常にコンパクトに持ち運べます。
また、ガスバーナーを持っていないと、ストーブを使わない季節は熱源が焚き火しかないことになるため、1つは持っておいたほうが無難です。
持っておくとシンプルに熱源が1つ増えますので、ストーブを使う場合でも、並行して調理・湯沸かしなどができるため便利です。
シングルバーナーを選ぶときのポイント
CB缶かOD缶か
アウトドア用のバーナーには大きくわけてCB缶用とOD缶用があります。上画像の右がCB缶、左がOD缶です。この2つを比較したときの長所・短所は以下のようになります。
長所 | 短所 | |
CB缶用 | ランニングコストが安い
ガス缶が入手しやすい |
寒さに弱い |
OD缶用 | 寒さに強い
バーナー・ガス缶ともに収納性に優れる |
ランニングコストが高い |
CB缶はカセットボンベ缶、OD缶はアウトドア缶の略称で、名前の通りOD缶の方が野外での実用性には優れています。CB缶は低温下で使用するとドロップダウン(ガス缶の中の燃料が気化できない)という現象が起き、着火できないことがあります。OD缶では沸点が低い燃料が充填されているため寒さに強いのです。ただし、その分ランニングコストが高い点が難点です。
一体型か分離型か
別の切り口で見ると、バーナー(炎の放射口)に直接ガス缶を取り付ける一体型と、ある程度離れている分離型の2種類があります。この2つを比較したときの長所・短所は以下のようになります。
長所 | 短所 | |
一体型 | 収納性にすぐれる | ガス缶の過熱に注意を要する |
分離型 | ガス缶が暖まりにくい
五徳の安定感がある |
テーブル上で場所をとる |
ガス缶は高温になると爆発する恐れがあります。そして、一体型は炎とガス缶が近いため、ガス缶の過熱に注意を要します。ガス缶の過熱を防ぐため、あまり大きな調理器具を使うこともできません。
一体型はガス缶が温まる心配はありませんが、反面、携帯性には劣り、展開時に場所を取るという短所があります。収納性に関しては一体型に軍配が上がります。
ST-310の長所
バーナーの基礎知識を身につけたところで、ここからはST-310の魅力についてご紹介します。
ST-310は前述の分類でいうと、CB缶用の一体型バーナーということになります。
ST-310の長所を一言で申し上げると、「CB缶用バーナーでありながら、CB缶用バーナーの弱点を克服している」という点です。つまり、CB缶のメリットを享受しながら、デメリットがかなり軽減されています。
CB缶バーナーなのに寒さに強い
CB缶は寒さに弱いと申し上げましたがST-310に関してはそうではありません。ST-310はマイクロレギュレーターという特殊な機構を搭載しているため、CB缶用バーナーでありながら低温下でも使用できます。
マイクロレギュレーターは、簡単にいうと、低温下でガス圧が低くなると、自動でガス噴出口を普段より広げて、ガスの噴出量が低下することを防ぐという高度な機能のこと。
これにより推奨外気温が5℃以上と、かなりの低温環境で使用できます。
公式の数字ではないので参考程度に聞いて欲しいのですが、筆者の経験では冬季用のガス缶であるST-760を燃料としたときには外気温0℃でも着火できました。
安定した五徳
五徳は4本の金属棒から構成されていますが、接地面が大きいため非常に安定しています。多めの米を炊飯したり、多少重めのものを置いてもしっかり安定します。収納時のコンパクトさと五徳の安定性を両立させた素晴らしいデザインだと感じています。
ST-310の短所
短所らしい短所はないST-310ですが、強いてあげるなら「一体型バーナーゆえ、大型の調理器具が使えない」という点が弱点です。これは前述のとおり、ガス缶が熱されて危険だからです。
遮熱板はついていますが、それでもガス缶を覆うような大きさの調理器具の使用は危険です。五徳のサイズの面でも、それほどの大きさの調理器具を乗せれば不安定になってしまいます。
大きい調理器具を使いたいのであれば、分離型のバーナーを買ったほうがいいでしょう。
少人数のキャンプにおすすめ
以上、ST-310の長所と短所についてご紹介しました。
まとめると、以下のようになります。
- 寒さに強い
- 五徳が安定している
- その他、CB缶バーナーに特有の長所も有す(ランニングコストに優れる、燃料が入手しやすい)
- 大きい調理器具には向かない
以上を踏まえると、2~3人以下の少人数のキャンプ用としては、どんな人にも胸を張っておすすめできます。
あるいは、大型の鍋は焚き火やストーブを用いて調理し、小型の調理器具はST-310で、という使い方でファミリーキャンプで使うこともできます。
気になった方はぜひチェックしてみてください。