きき酒師の渡邉です。
千葉県の外房エリア、いすみ市にある個性派酒造の木戸泉。
その木戸泉酒造が造る、自然栽培米のみを使用して醸した純米酒、『木戸泉 純米酒 自然舞』
その味わいや、飲み方、料理との相性(ペアリング)できる限り詳細に評価しました。
いわば『木戸泉 純米酒 自然舞』に関するデータベースのようなページです。
自然舞の評判や口コミを気にしている人の参考になればと思います。
【木戸泉酒造 純米酒 自然舞】味の評価
自然農法米を原料に、高温山廃づくりにて醸されたのがこちらの純米酒。
自然農法とは、有機栽培とも一線を画す、農薬も肥料も使わない栽培方法です。
山廃による心地よい酸。そして、自然米由来の甘味と旨味は、大地の養分を貪欲に蓄えたことによる逞しさのようなもの、滋味深さが感じられます。
具体的に言うと、誤解を恐れずに例えるとすれば、少し醤油に似たような旨味が感じられます。
酸と旨味により厚みを感じる酒ですが、それでいて繊細さも感じさせる、味わいのバランスの緻密さがあります。
そのため、唐揚げのような味の太い料理にも合いながら、白身魚の刺身のような繊細な料理ともマッチするという、離れ業をやってのけてくれます。
飲み方
旨味をしっかり感じて欲しいので、常温か、冷やしても涼冷え(15℃)程度がおすすめ。
ぬる燗(40℃程度)が米の香りが最高に引き立つが、個人的にはとびきり燗(55℃程度)で、ドライな感じが付与された方が好き。
時間経過
開栓から1週間弱でも味わいが変わり、変化が楽しめる。
古酒テイストの風味、熟成感が感じられるようになってくる(醤油や椎茸にも似た旨味)。
ペアリング
おせち料理
昆布巻き
昆布の風味、味付けの旨さ甘さともちょうどよくなじみ、ひろがる酒の味わいで、昆布のいやなクセも感じさせない。昆布巻きとのペアリングでは相性トップ。
紅白なます
酢の酸味で、濃醇な米の旨み•甘みが広がる感じがあっていい。
紅白なます ゆず皮
酒の濃醇な味わいにゆずの爽やかな香りが加わり、美味な味わいに。
田作り
悪くないが、平行であまりシナジーはない。
にしめ
醤油の味付けを足場に、酒の甘みががパーっと広がって美味い。
ごった煮(筑前煮)
醤油や食材の旨みと酒の旨みが調和し、酒の甘みがパッと広がり大変美味い。
レンコンきんぴら
同じく、醤油や食材の旨みと酒の旨みが調和し、酒の甘みがパッと広がり大変美味い。
煮物 大根、にんじん、高野豆腐
上に同じく。
日常の料理
鶏の砂肝(塩)
余裕で合う。砂肝の太さと、なんら問題なく濃淡が合う。旨みに調和して美味い。
鶏もも肉
食材と酒のボディが一致してよく合う。
鶏ササミ 塩
ササミの味わいに、酒の味わいが完全に勝っているが、それはそれで悪くない。木戸泉という味濃いめの調味料(強さの度合いでいくと、マヨネーズぐらいの暴力性)をササミにかけて食べているようなイメージ。
豚ハツ
合う。酒の椎茸のような旨味と、ハツの風味旨みがよく調和する。
椎茸 塩
椎茸の風味•旨みと、酒の濃醇な味わいとが重なる様が非常に美味。至福の余韻。
酒粕味噌の味玉(鶏卵)
合う。酒粕は日本酒ペアリングのチート調味料なので当然といえば当然。
鍋(醤油味)
ぬる燗だと米の香りが強すぎる。熱燗が合う。
豆乳鍋
合う。冷でも合う。
アボカド(生スライス・わさび醤油)
合う。並の日本酒じゃアボカドの卵黄に似たにおいが強調されて合わないのに、合うのはすごい。
手作りキムチ
かなり合う。乳酸同士の調和だと考えられる。
牡蠣 塩
牡蠣の風味に負けない厚みがあり、悪くないが、平行。牡蠣の風味が単独で残る。
牡蠣 塩と黒酢
酸味が加わる事で、酒の旨み甘みが広がり、牡蠣の風味が嫌に残る感じがなくなり、余韻が心地良くなりグッド。
牡蠣 塩と醤油
醤油の旨みと調和して、酒の旨みと甘みが広がり、それが牡蠣の風味とも心地いい形で重なる。
カボチャのサラダ
非常によく合う。カボチャと甘味と日本酒の甘味を接点に味わいが重なる様が美味。