日本酒は相性のいい料理と組み合わせることで何倍も美味しく楽しめる。最近よく耳にするようになったペアリングという手法だ。
そのペアリングを手軽に楽しめるのが上野御徒町(東京)にある「日本酒処 地花」。
利き酒師で女性店主の最上谷彩香さんが店内100種類の日本酒の中からその時の料理に合ったお酒を選んでくれる、日本酒ペアリングが売りの居酒屋だ。
店内の日本酒と料理の味を知り尽くしている店主が日本酒を選んでくれるため、知識の有無に関係なく誰でもペアリングを楽しむことができる。
目次
利き酒師の女性店主のおもてなし
店を仕切るのは、利酒師で店長の最上谷彩香さん。
日本酒好きが高じてこの職につき、もてなしの質を高めるために利酒師の資格も取得。
「利酒師の資格をとる中で得た知識も役に立っていますが、やっぱり現場での経験が1番ですね」
と、お客様の生の声を第一に、日々ペアリングの完成度に磨きをかけている。
日本酒の知識量に関係なく安心して日本酒を楽しめるお店であり、女性客のみでの来店も多いという。常連さんとの気兼ねないやりとりでは、地元に愛されているお店であることも伝わってきた。
メニューと日本酒ペアリング
メニューはコースとアラカルトがあり、どちらのスタイルでも料理にあった日本酒をペアリングしてもらえる。
この日は鍋をメインに据えた冬の特別コースをオーダー。
冬といえば鍋。鍋をつつきながら日本酒を飲める店は珍しくないが、鍋と日本酒を緻密にペアリングしてくれるお店はなかなか見当たらない。
いただいたコースの中で特に印象的だったペアリングをいくつか紹介しよう。
①自家製野菜蒸しと味噌のディップ × 「相模灘 特別本醸造酒」
神奈川県相模原市の久保田酒造の特別本醸造酒。フルーティーでふくらみがあり、生酒らしいフレッシュさが感じられる。
お酒の華やかな香りが野菜のみずみずしさと自然な甘みに花を添え、生酒特有のあらあらしさが味噌のコクと調和して互いの良さを引き立て合っていてお見事。
②鶏レバーの甘辛煮 × 「上喜元 翁 生詰」
山形県酒田酒造の毎年11月限定出荷の生詰酒。ドライな飲み口の中に感じられるすっきりとした旨みとほのかな甘さ。甘辛く煮たレバーの甘みと旨みの余韻を心地よく伸ばしてくれ、自ずと感嘆の声が漏れていた。
③名古屋コーチンのちゃんこ鍋 × 「夢心 会津金印」
福島県喜多方市・夢心酒造のいわゆる普通酒を冷や(常温)で。フルーティーさとは違う、米と麹の甘みを優しく感じる飲みやすいお酒。醤油ベースの鶏出汁旨みと、昔ながらの日本酒のほどよい甘みが合わないわけがなく、日本人なら誰もが心を掴まれてしまうペアリング。
④名古屋コーチンのちゃんこ鍋 × 「九頭龍 逸品」
鍋とのペアリングをもう1組。福井県は黒龍酒造のお酒。ほのかにフルーティーな香りを感じる素朴な酒。鍋の出汁に調和しつつ、お酒の華やかさが自然なアクセントとなり、料理単体では味わえない食体験を演出。これこそペアリングの妙だと感じさせてくれる組み合わせだった。
日本酒の楽しみ方がわかる場所に
「日本酒の仕入れでは、定番のもの、流行りのもの、そして日本酒好きも見たことないようなお酒をバランス良く揃えることを心がけています」
お酒の仕入れとお客様への提供は店長である最上谷さんの仕事。日本酒のラインナップには常に気を配っている。
いきつけの酒屋に加え、初見の酒屋へも定期的に足を踏み入れ、新しい風をとりこむことも欠かさない。
そして厨房の料理人たちと密なディスカッションを重ねながら、どんなメニューを立て、どの日本酒と合わせるか、ペアリングの案を詰めていく。
その原動力には”どんな人でも満足させられるように”という最上谷さんの想いがある。
「日本酒に興味がある人なら、経験や知識の量に関係なくどんな方でも来ていただきたいです。楽しみ方は私たちがご提案しますので、安心してお立ち寄りください」
店舗情報
【店名】日本酒処 地花 【住所】東京都台東区上野3-14-5 オークKSビルB1階 【営業日時】月: 17:00~23:00 (料理L.O. 22:00 ドリンクL.O. 22:00) 火~金、祝前日: 16:00~23:00 (料理L.O. 22:00 ドリンクL.O. 22:00) 土: 12:00~21:00 (料理L.O. 20:00 ドリンクL.O. 20:00) 【HP】https://chika.owst.jp |